合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 ビシッと決ったスーツ姿で悠磨は頭を下げ、鈴菜との結婚を願い出た。誠実な態度に両親は『こんな立派な方が』と感動していた。

(お父さんお母さん騙してごめんなさい。その分いっぱい親孝行するから……!)

 手放しで喜んでくれる分、良心が絞られ悲鳴を上げた。

 家を出て埼玉の企業に勤めている弟もその場におり、久々に顔を合わせた。『姉さんおめでとう。よかったね』と明るく祝福してくれて、また胸がチクリと痛んだ。

 一方悠磨の両親は彼が幼い頃に離婚しており、母親とは縁が切れているという。父は今大阪の総合病院で医師をしており忙しく、オンラインでの挨拶になった。

 建前上医師の妻になる。生粋の一般人である自分が認めてもらえるだろうかと鈴菜はかなり緊張していたが、画面の向こうの彼の父は悠磨に対して『お前が結婚するとはな』と驚きつつ歓迎してくれた。

『両家の顔合わせは、結婚式当日でいいだろう?』という悠磨に彼の父は呆れ顔になる。

『どうせお前も忙しくて調整が難しんだろう。鈴菜さん、悠磨は仕事バカですが、よろしくお願いします』