合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 濃紺や爽やかなホワイトのタキシードから、背が高くないとバランスが悪くなりがちなジャケット丈の長いフロックコートも悠磨は難なく着こなしていた。頭の中で妄想していたより実物は何百倍もかっこいい。本当にパンフレットに乗せてしまいたいくらいだ。モデルとして当館と専属契約を結んでいただけないだろうか。

「ロングタイプのタキシードにアスコットタイを合わせたらどうかな。落ち着いたグレーなら会場の雰囲気にも合いそうだし」

 鈴菜は璃子に声をかける。

 メゾン・ド・リュネのチャペルやバンケットルームは、荘厳というよりナチュラルモダンな雰囲気だ。中世の貴族のような形のフロックコートよりタキシードの方が馴染む気がした。

「さすが鈴菜さん! そう思って準備していたのがあるんです」

 璃子はキラリと目を光らせ、ハンガーから衣装一式を運んでくる。

「こちら、着てみていただけますか?」

「はい、もちろん」

 悠磨は柔らかい笑みを浮かべ、もう一度カーテンの向こうに消えた。

「はー、望月さん本当に素敵ですね。お会いするの楽しみにしていたんですけど、あまりにかっこよすぎてびっくりしちゃいました!」

「あ、ありがとう」