結婚式を挙げない限り、土谷からの陰湿な精神攻撃はこの先も続く。彼が本社に行ったとしてもなにを噂されるかわからない。ウエディングプランナーとしてこの会社でがんばりたいと思っている鈴菜にとっては耐えられないことだった。
そのとき鈴菜の脳内で悪魔が囁く。
(またとない救いの手が差し伸べられているのよ。この際思い切れば?)
辛くなって会社を辞めるくらいなら、この人の力を借りて正々堂々大きな嘘をつきとおしてもいいのではないか。
鈴菜は腹を括った。静かに目を開き居住まいを正して前を見据えると、決意が伝わったのか、悠磨はこちらを見て口の端を上げた。
「もし君がやると決めるなら、新郎役を完璧にこなしてみせる。俺は、興味を持ったことには手を抜かない性分なんだ。一度引き受けたら最後までやりきるつもりだ」
掴みどころのない雰囲気は変わらないが、しっかりした口調は嘘をついているとは思えなかった。
「ああ、でもこの話を受ける前にひとつだけ約束を作っておきたい」
「約束、ですか」
「お互い好きにならないこと」
一瞬身構えた鈴菜に悠磨はサラリと告げる。
「好きにならない」
そのとき鈴菜の脳内で悪魔が囁く。
(またとない救いの手が差し伸べられているのよ。この際思い切れば?)
辛くなって会社を辞めるくらいなら、この人の力を借りて正々堂々大きな嘘をつきとおしてもいいのではないか。
鈴菜は腹を括った。静かに目を開き居住まいを正して前を見据えると、決意が伝わったのか、悠磨はこちらを見て口の端を上げた。
「もし君がやると決めるなら、新郎役を完璧にこなしてみせる。俺は、興味を持ったことには手を抜かない性分なんだ。一度引き受けたら最後までやりきるつもりだ」
掴みどころのない雰囲気は変わらないが、しっかりした口調は嘘をついているとは思えなかった。
「ああ、でもこの話を受ける前にひとつだけ約束を作っておきたい」
「約束、ですか」
「お互い好きにならないこと」
一瞬身構えた鈴菜に悠磨はサラリと告げる。
「好きにならない」



