合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 これまで休みを返上してまで仕事を優先してきた人間が、休みを取ると言い出したのが驚きなのだろう。
心配げな顔で見上げられ、悠磨は鈴菜の頭をポンポンと撫でる。

「いろいろ準備は必要だがその気になって仕事を調整すれば数日は確保できる、海外は難しいかもしれないが君の受賞祝いも兼ねて君の行きたいところ行こう」

 すると鈴菜は、ぱっと顔を輝かせた。

「嬉しい! もちろん行きたいです。私も休みを合わせられるように調整しますね」

「ああ、頼む」

 やっぱり彼女にはこうして笑っていてほしい。

「これからも時間を見つけてふたりで出かけよう。俺は今まで仕事ばかりしてきてろくに旅行もしたことがないが、鈴菜と一緒ならいろいろな場所に行ってみたい」

 すると鈴菜は嬉しそうに「はい」とうなずき、悠磨の胸に顔を埋めた。

 悠磨にとって医者は天職だ。患者を救うために手を抜くつもりはないし、これからも努力は厭わない。仕事人間であるのは変わらないだろう。

 だが夫として鈴菜を守り、幸せにするという使命も全力で果たすつもりだ。

(俺にしかできない重大な使命だな)

 悠磨は鈴菜の背中に手を回し抱きしめてから顔を上げた。