合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 嬉しそうに目を細めた鈴菜だったが、急になにかに気づいたような顔になる。

「うーん、でもこのまま悠磨さんが料理上手になって、私よりおいしく作れるようになっちゃったらちょっと複雑です」

「その心配はないよ。俺にとって鈴菜の作る料理以上にうまいものはないから」

「そんな嬉しいこと言われたら、調子に乗っちゃいますよ」

 甘えるように預けてくる体重と温もりが心地よい。悠磨はそっと肩を抱く。

「ああ、本心だからどんどん乗ってくれ。でも、無理だけはしないでほしい。福沢さんも来てくれいているし、足りないところはふたりで協力してやっていこう」

 悠磨も大概だが鈴菜も仕事熱心すぎるきらいがある。さらに家のことまでがんばろうとするから心配で仕方がないのだ。
 そこで悠磨はずっと考えていた話題を切り出した。

「鈴菜、近いうちに休みを取るから旅行に行かないか?」

「旅行ですか?」

 思いがけない提案だったのか鈴菜はキョトンとしている。

「俺たちはまだ新婚旅行に行ってないだろう」

「たしかにそうですけど、大丈夫なんですか?」