合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

「あー今のは鈴菜ちゃんが悪いな」

 カウンターに肘をつきながら純也が笑い声をあげる。

「末永くお幸せに」

 困惑する鈴菜をよそに、義兄は楽しくて仕方がないという顔をした。

***
 
 瞼をゆっくり開けた悠磨は枕元のスマートフォンに手を伸ばす。

(六時か。まだ起きなくてもよさそうだな)

 隣では妻が静かな寝息を立てている。今日は彼女も休日だし、昨夜はだいぶ無理をさせてしまったからなるべくゆっくり寝かしてやりたい。

「疲れさせて悪かった。でも、かわいいことを言う君にも責任はあるぞ」

 力の抜けた体をそっと抱き寄せ悠磨は小声でつぶやく。

『悠磨さんに会えて……好きになって、結婚できてよかった』

 最愛の妻がそう言って幸せそうに蕩けているのを見たら、心臓を鷲掴みにされるに決まっている。久しぶりに訪れた兄の店だろうと彼女がまだ飲みたそうにしていようと連れて帰りたくなっても仕方がない。

 自宅に戻った後はベッドの上で彼女が音を上げるまで何度も求めてしまった。

 反省すべきなのかもしれないが、鈴菜の安らかな寝顔を見て悠磨の頬は自然と緩む。