合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 手を引かれ入った部屋は悠磨が言うようにだいぶ整理されていた。資料や文献は大きな本棚に収まっていてデスクの上に出しっぱなしになっている書類もない。

『いろいろと生々しい画像付きの資料が出しっぱなしになっているかもしれないから。君はああいうの苦手だろう』

 同居当時にそう言われたのが懐かしい。たまに開いたドアから室内が見えることはあったが、実際こうして中に入るのは初めてだ。
 悠磨は部屋の明かりを落としベッドサイドランプだけにする。

「余計なものがなくて、なんというか悠磨さんの部屋っぽいですね」

 緊張のためか、自分でも言葉が上滑りしている自覚があった。

「将来的にはもっと広い家が必要になるかもしれない。その時は引っ越そう」

 悠磨はベッドに腰かけながら笑みを浮かべる。

「病院の近くがいいですかね」

「それなら助かるが、次は君やこれから生まれるかもしれない子どもが暮らしやすい場所を優先するつもりだ」

 当然のようにふたりの子どもの話をする悠磨。彼の思い描く未来に間違いなく自分がいる喜びで心が震える。

「おいで」