合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 愛していますと続けようとした言葉は、彼の唇に吸い込まれた。

「ん……」

 両頬を大きな掌で固定されたまま唇を食まれる。最初は優しく合わせていたキスは彼が顔の角度を変えるたび、熱が増していく。

「……口、開けて」

「あ、ふぁ……ん」

 唇を割って彼の舌が差し込まれても、鈴菜は拒絶せずシャツに縋り付きながら必死で応えた。

 どれくらいそうしていただろう。解放された鈴菜は彼の肩口に顔を埋めて息を整える。

「俺の部屋、片付けたんだ。今夜から夫婦の寝室にしたい」

 悠磨は鈴菜の後頭部を撫でながら声を落とした。

「え……」

「いいか」

 顔を上げた先で美しい黒い瞳に捕らえられる。熱情が出口を探してうずまいているような切迫した感情を目の当たりにし、鈴菜の心臓がドクドクと早鐘を打つ。

 悠磨の言いたいことが分からないほど鈴菜は子どもではないし、誤魔化すつもりもなかった。自分も心から彼を求めていたから。

「はい」

 小さく頷くと悠磨は鈴菜の瞼にキスを落とした。