合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

「俺は、初めて会った時から惹かれていたよ……鈴菜に出会えてよかった」

 彼の言葉は鈴菜の心の柔らかい場所に直接刺さり温かく溶けていく。

『愛する人に出会えた奇跡と、共に生きる幸せに日々感謝しています』今日のスピーチで聞いた言葉が蘇ってくる。

 今、この人と寄り添っていられるのは本当に奇跡なのかもしれない。

『私と結婚してくれませんか!』という鈴菜のプロポーズで始まったふたりの関係。まさか本当に結婚式を挙げ、その後結婚までするとは思わなかった。

 掴みどころが無い外面のいい仕事人間。一方自分のことは無頓着な悠磨に最初は驚き呆れた。

 それでも命の現場に真摯に立ち続ける悠磨を尊敬し、役に立ちたいと思った。いつしか彼が本来持つ優しさに触れ、惹かれる気持ちが止まらなくなった。初めて切なくなるくらい人を好きになって、その人から想いを返してもらえる。なんて幸せなんだろう。

「はい、私も悠磨さんに会えてよかった」

 逞しい胸に顔を埋めながら鈴菜も溢れ出る思いを伝える。

「鈴菜……愛してる」

 顎を上げられた先には悠磨の整った顔があった。

「私も」