合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

「指輪はどこですか? 返してください。あなたもウエディングプランナーなら、指輪の大切さも新郎新婦が今日をどんなに楽しみにしていたかもわかりますよね」

「うるさい! 知らないって言ってるだろう。お前、俺を差し置いてコンテスト受賞なんて生意気なんだよ。変な言いがかりをつけるならお義父さんに頼んで辞めさせてやる」

「土谷さん……」

 駄々っ子のように騒ぎ立てる土谷は手が付けられない。このままでは指輪が見つからないまま時間が過ぎてしまう。

「なら、俺があなたを訴えます。映像もあるし言い逃れはできないでしょう」

 スッと前に出て、低い声を落としたのは悠磨だった。

「ぶ、部外者がなにを」

「部外者でもないですよ。新郎の友人として、なにより妻を陥れる人間を許せるわけがない」

 悠磨は土谷の胸倉を軽くつかみ睨みつけた。

「鈴菜が生意気だって? 彼女は日々の仕事を真摯に積み上げてるんだ。お前と違ってな」

 凍るほどの冷たい迫力にその場の全員が息をのむ。高い位置から見おろされ土谷は「ヒッ」と目を剥いた。

「指輪はどこだ。言わないならこのまま警察に突き出すぞ」