合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 悠磨は再び口の端を上げ、今度は触れるだけのキスをしてから鈴菜を解放し、ドアを開け出て行った。

 閉まったドアを見つめながら鈴菜は熱いため息をついた。

(……甘い)

 想いが通じて約二週間。元々夫婦ではあったし一緒に住んでいる。鈴菜はこれまでとふたりの生活は基本変わらないと思っていた。たしかにお互い忙しい生活は変わっていない。しかし大きく変わったことがある。悠磨の言動だ。

(悠磨さんがこんなにわかりやすく気持ちを伝えてくれる人だとは思わなかった)

 彼は鈴菜への好意を隠そうとしないし、キスやハグも流れるようにする。そのたび鈴菜は恥ずかしくて余裕がなくなってしまう。

 とはいえふたりはまだ体を重ねてはいない。

 気持ちが通じ合ったパーティの夜はいい雰囲気になったのだが、次の日に早朝出勤の予定だった鈴菜を気遣ったのか悠磨はその先に進もうとしなかった。

 その後もお互いが忙しいのと物理的に寝室も別なこともあり、なかなかそういう機会がやってこない。悠磨もさきほどのような熱いキスはしても、それ以上のことはしてこない。