合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 正直な感想を伝えると葛西教授はたいそう喜んでくれ『望月先生は本当にいい奥さんをもらったな。大切にするんだぞ』と上機嫌だった。

「もしかして、でしゃばりすぎましたか」

 高名な教授に素人の感想など失礼だったのではないか。今更ながら不安になる鈴菜に悠磨は軽く首を横に振る。

「いや、なんの問題もないよ。あれが素なんだから鈴菜はすごいよな」

(えっと、とりあえず大丈夫ってことかな)

 やけに楽しそうな悠磨を見上げていると、彼は誰かを見つけたようで手を上げて合図した。

「瀬戸、君も来ていたのか」

 悠磨に気づいた彼はこちらに近づいてきた。年は悠磨より少し下くらいだろうか。悠磨もそうだが、この人も背が高く、俳優に間違がえられそうなほど見た目が整っている。

「望月先輩、お久しぶりです。僕も葛西先生にはお世話になっていましたので顔を出しに」

「紹介するよ。妻の鈴菜だ。鈴菜、彼は瀬戸。俺の大学の後輩で、今は外部の病院の脳神経外科医をやっている」

「瀬戸といいます。望月先輩には学生時代からお世話になっています」

「初めまして、お会いできてうれしいです」