合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 悠磨の思いやり触れたあの朝から鈴菜は考え方を少し変えた。すべてをひとりで完璧にこなそうとしなくていいと。
 仕事については璃子や何人かのプランナーに発注内容のチェックをフォローし合えないかと提案したら皆快く受け入れてくれ、おかげでミスは発生していない。

 食事については極力作るようにしているが、外食も選択肢に入るようになった。一昨日は悠磨に誘われ、病院の近くにある定食屋にふたりで食べに出かけた。悠磨がたまに出前で頼んでいたというカツカレーはボリュームがあって美味しかった。

 鈴菜は心を決めていた。

(このパーティが終わったらけじめをつけよう)

『葛西教授の出版記念パーティだけは妻として同伴してもらう』

 結婚を決めたとき、悠磨は鈴菜にそう言った。ある意味この場は悠磨の妻としての最後の舞台だ。これで対外的な役割は終えても問題ない。

 だから今日が終わったら鈴菜は思い切って悠磨に想いを伝えるつもりでいた。

(感情はそう簡単に変えられない。好きになっちゃったんだからしょうがない)

 ウジウジ考えている自分がどうしても嫌で腹を括った。開き直ったともいえる。