合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 目の前の悠磨は困ったような顔でこちらを見ている。

 火を入れ過ぎて硬くなってしまった黄身は硬いし、白身には焦げた臭いが残ってしまっている。

 でも、こんなにおいしい目玉焼きを食べたのは初めてだ。鈴菜は本気で思った。

 『今まで一度も料理を作ったことは無いし、別に必要性を感じないな』と言い切っていた悠磨がわざわざ朝食を作ろうとしてくれた。それも鈴菜のために。

(きっと、私が最近忙しくしているから気を使って、朝食を作ろうとしてくれたんだ)

 食べてしまうのがもったいないほど嬉しい。熱いものが込み上げそうになるのを抑えながら笑顔を作る。

「今まで食べてきた目玉焼きの中で一番おいしいです」

「さすがにそんなことはないだろう」

 鈴菜の感想に悠磨は呆れたように笑う。

「そういえば鈴菜、昨日の夜ソファーで寝ていたぞ」

 たしなめるような声が続き、鈴菜はハッとする。

「そうでした。もしかしなくても悠磨さん部屋まで運んでくれたんですよね」

「あんなところで寝て風邪でも引いたら大変だから、勝手に部屋に入らせてもらった」

「それは全然かまわないですが、お手数をおかけし申し訳ありません」