力の抜けた寝顔はいつもより幼くてかわいらしいのに、目の下にうっすら隈が浮かんでいるのを見つけて胸が痛む。
「君が倒れでもしたら、俺は心配で仕事どころじゃならなくなるぞ」
悠磨は小さく呟き、鈴菜の髪をそっと撫でた。
(あのときも、つい触れてしまったな)
滑らかで柔らかい感触に、ショッピングを口実に鈴菜を連れ出した日のことを思い出す。彼女の気分転換と悩みを聞くのが目的だったはずが、いつの間にか悠磨自身がふたりの時間を楽しんでいた。
ハイブランドの服をガチガチに緊張しながら試着する様子も、カフェで目を輝かせて大事そうにケーキを口に運ぶ仕草も、夜景を前に目を細める横顔も、どれもが愛おしかった。
今までは休みの日も仕事で頭が一杯だったのに、彼女といると解放される気がした。
(〝解放〟か……)
自分にとって心臓血管外科医は天職で、人生を捧げるつもりでいた。今もそれは変わっていないが、命の現場に立ち続けるのが当たり前になっていく中、気づかないうちに息が詰まり自分を追いつめていた部分があったのかもしれない。
「君が倒れでもしたら、俺は心配で仕事どころじゃならなくなるぞ」
悠磨は小さく呟き、鈴菜の髪をそっと撫でた。
(あのときも、つい触れてしまったな)
滑らかで柔らかい感触に、ショッピングを口実に鈴菜を連れ出した日のことを思い出す。彼女の気分転換と悩みを聞くのが目的だったはずが、いつの間にか悠磨自身がふたりの時間を楽しんでいた。
ハイブランドの服をガチガチに緊張しながら試着する様子も、カフェで目を輝かせて大事そうにケーキを口に運ぶ仕草も、夜景を前に目を細める横顔も、どれもが愛おしかった。
今までは休みの日も仕事で頭が一杯だったのに、彼女といると解放される気がした。
(〝解放〟か……)
自分にとって心臓血管外科医は天職で、人生を捧げるつもりでいた。今もそれは変わっていないが、命の現場に立ち続けるのが当たり前になっていく中、気づかないうちに息が詰まり自分を追いつめていた部分があったのかもしれない。



