合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

「はい。それで望月先生、このあとご一緒できませんか?」

「一緒に、ですか?」

 悠磨が首を傾げると日村は慌てたように付け加える。

「実は、仕事のことで相談に乗っていただきたいことがあって……」

 上目づかいで見つめてくる日村の指先が意味ありげに悠磨の腕に触れた。

 悠磨は心の中で大きな溜息をついた。基本的にオペ看には夜勤はないのに日村がこんな時間まで残っていたのは悠磨が帰るのを待ちぶせるためだったのだろう。

(彼女は看護師として優秀で俺に色目を使ったことが無いから信頼していたんだが)

 これまで数えきれないほどの女性からこうして誘いを受けたが、うまく断ってきた。それでも諦めない者も結婚を機に一掃できたと思っていたのに。

(既婚者を誘うなんて、たちが悪いな)

「申し訳ないですが仕事の話なら業務時間に聞きますよ。そもそも相談なら僕より適任がいると思いますが」

 悠磨は笑顔のまま体を引いて日村から距離を取った。

「え、望月先生?」

 仕事を理由に誘えば付いてくると思っていたのだろう。離れた手をさまよわせ、日村は困惑している。

「では、お疲れさまでした」