マスターは人のよさそうな顔をした癒し系のイケメンだ。基本的にいつもひとりでこの店を切り盛りしている。年齢は聞いたことはないが、おそらく三十代中盤くらいだろう。
聞き上手なマスターに鈴菜は仕事の話もしているが、もちろん機密やお客様個人情報にはふれていない。
仕事終わりにふらりと立ち寄って静かに飲んだり、マスターと会話を交わすのが鈴菜の貴重な息抜きになっていた。
体調不良を理由に二次会を欠席した鈴菜は、やり場のない気持ちのまま独り暮らしをするアパートに帰りたくなくて、ドレス姿のままこの店に足を向けた。マスターは鈴菜の表情を見てなにかあったと察したのだろう。『話聞くよ』といつもの席に案内してくれた。
「……と、いうわけで、最悪の結婚式だったわけです」
開店直後で店に他の客がいないのをいいことに、今日起こったことをかいつまんで話す。いつの間に二杯目もほぼ空になっていた。
「その男って、たしか前に鈴菜ちゃんが連れてきたことあったよね」
マスターはお冷を差し出した。一度休憩を挟めということだろう。こういう気遣いも彼のいいところだ。
「はい。その人です」
聞き上手なマスターに鈴菜は仕事の話もしているが、もちろん機密やお客様個人情報にはふれていない。
仕事終わりにふらりと立ち寄って静かに飲んだり、マスターと会話を交わすのが鈴菜の貴重な息抜きになっていた。
体調不良を理由に二次会を欠席した鈴菜は、やり場のない気持ちのまま独り暮らしをするアパートに帰りたくなくて、ドレス姿のままこの店に足を向けた。マスターは鈴菜の表情を見てなにかあったと察したのだろう。『話聞くよ』といつもの席に案内してくれた。
「……と、いうわけで、最悪の結婚式だったわけです」
開店直後で店に他の客がいないのをいいことに、今日起こったことをかいつまんで話す。いつの間に二杯目もほぼ空になっていた。
「その男って、たしか前に鈴菜ちゃんが連れてきたことあったよね」
マスターはお冷を差し出した。一度休憩を挟めということだろう。こういう気遣いも彼のいいところだ。
「はい。その人です」



