合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

「いろいろ新調って言っていたから悠磨さんの買い物をするんだとばかり……」

「後でネクタイとチーフを見繕ってくれるか?」

 軽く睨んでみたものの、彼はどこ吹く風だ。

(悠磨さんが休みを使ってわざわざ買いものに出かけようとしているのが少し意外だったんだけど、私のためだったんだ)

「ドレスは、土谷さんの結婚式で着たのがありますよ」

 ベーシックなデザインだし、パーティでも失礼に当たらないはずだ。店員が離れた隙に小声で主張すると悠磨は軽く顔を顰める。

「あいつのためのドレスを俺の隣で着るつもりなのか」

「土谷さんのためじゃなくて、結婚式のためのドレスですよ」

 妙な言い回しを慌てて否定する。

「とにかく君のドレスは俺が準備する。ここが気に入らなかったら他のブランドでもいい」

 一歩も引かない態度を前に、鈴菜は諦めるしかなかった。

(やっぱり、最近の悠磨さんちょっと様子がおかしいような)

 結婚当初に比べたら同居人としてふたりの関係は良好だった。しかし、ここ一週間前くらいから彼の態度が変わってきた気がする。