合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 ちょっと飲みすぎたくらいであんなことをする人だろうか、そう思わなくもなかったが、顔に出ていないだけで悪酔いしていたのかもしれない。鈴菜は悶々としながらそう結論づけた。

 翌日起きてきた彼はケロリとしていて二日酔いもなさそうだった。

 そして昨日のことなどなかったように『買い物に付き合ってもらえないか』と誘われた。

『そろそろパーティがあるだろう? いろいろ新調しようと思っているんだ』

 たしかに葛西教授の著書の出版記念パーティが来月に控えていた。

『君の見立てなら信用できる。頼むよ』

 そう頼られたら断る理由はない。鈴菜は休みが重なった今日、彼の車で銀座に連れ出されたというわけだ。

 事前に予約していたらしく、名前を告げると女性店員がこちらに近づき、上品に笑いかけてきた。

「望月様、お待ちしておりました。今日は奥様のドレスをご覧になりたいと伺っておりますがよろしいでしょうか」

「えっ?」

 目を丸くした鈴菜に構わず悠磨は「はい、よろしくお願いします」と柔らかくほほえんだ。

 半個室になった専用スペースに通され、ふかふかのソファーに腰かける。