しかし、それを璃子や列席している同僚たちに打ちあけることもできず、鈴菜は顔に笑顔を張り付けながらこの苦行が早く終わってほしいと切に願った。
「マスター、ジンライムとなにか軽く摘まめるものお願いします」
「鈴菜ちゃん今日披露宴だったんでしょ。飲み食いしてきたんじゃないの?」
「ほとんど飲めなかったし、なにを食べたかも覚えていません……」
マスターに差し出されたお冷のグラスの前で鈴菜は突っ伏しながら声を漏らした。
ここはバー『Moonlit Alley(ムーンリット・アリー)』。鈴菜の勤めるゲストハウスの最寄り駅近くにある小さな店だ。駅近くといっても徒歩で数分かかる路地裏の地下にあり、入口も分かりにくい。
隠れ家のようなこの店を偶然見つけ、階段下のドアを思い切って開けたのは約三年前。
L字型のカウンターがメインで、他は二人掛けのテーブル席が2つだけの店内は、満月のような形のペンダントライトが優しい光を放つ落ち着く空間だ。アンティークな調度品もとてもセンスが良く、なによりマスターの作るドリンクがおいしい。
「マスター、ジンライムとなにか軽く摘まめるものお願いします」
「鈴菜ちゃん今日披露宴だったんでしょ。飲み食いしてきたんじゃないの?」
「ほとんど飲めなかったし、なにを食べたかも覚えていません……」
マスターに差し出されたお冷のグラスの前で鈴菜は突っ伏しながら声を漏らした。
ここはバー『Moonlit Alley(ムーンリット・アリー)』。鈴菜の勤めるゲストハウスの最寄り駅近くにある小さな店だ。駅近くといっても徒歩で数分かかる路地裏の地下にあり、入口も分かりにくい。
隠れ家のようなこの店を偶然見つけ、階段下のドアを思い切って開けたのは約三年前。
L字型のカウンターがメインで、他は二人掛けのテーブル席が2つだけの店内は、満月のような形のペンダントライトが優しい光を放つ落ち着く空間だ。アンティークな調度品もとてもセンスが良く、なによりマスターの作るドリンクがおいしい。



