合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 しかし今ではそんな鈴菜の行動に触れるたび、思い出すたび胸の奥が焦れて落ち着かなくなる。

(参ったな……)

 透明な液体を見つめ、心の中で溜息をつく。

「で、悠磨は鈴菜ちゃんが家にいなくて寂しくなったからここにきたってこと?」

「……ああ」

 一言認めると純也は満面の笑みになった。

「やっぱりこうなったか」

「やっぱり?」

「スマイルドクターロボットの悠磨が新郎役なんて面倒なこと引き受けたこと自体、イレギュラーだろ」

「ひどい言われようだな」

 悠磨は口の端を上げて頬杖をつく。

「実際、病院では外向きの笑顔を張りつけて次々と手術や診察して、暇さえあれば技術向上の訓練して、論文ばかり読んでるんだろう? 仕事以外興味のないお前が、鈴菜ちゃんに対しては初めから素を見せてたし、結婚式のときもやけに楽しそうに見えたからさ」

「さすが兄さんだな」

「かわいい弟のことだからね。わかるさ」

 兄の言う通りだ。〝面白い〟という感情を抱いた時点で鈴菜は特別な存在だったのだ。