合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 昼休憩の時間帯、オフィスのデスクで弁当箱を開けていると、隣から璃子が覗き込んできた。

 今日の弁当のおかずはミニハンバーグ、アスパラのベーコン巻き、卵焼きにミニトマトだ。ハンバーグはたくさん作っておいて冷凍しておいたものを使っているので、それほど手間はかかっていない。

「彩りが良くて、栄養バランスもばっちりじゃないですか。旦那様も同じもの渡してるんですよね」

「うん。私のお弁当も前よりヘルシーになったかも」

 鈴菜は笑顔を浮かべて箸を手に取った。

 瑞穂の祖母、菊枝が入院してから一週間。瑞穂からは一昨日無事退院したという連絡が入った。

『望月先生のおかげで、おばあちゃんが仁さんと話をしてくれるようになったんです。この分なら結婚式にも出てくれそうです。ありがとうございました』

 菊枝の担当医となった悠磨は、彼女が孫娘の結婚を反対していると知り『藤田は僕の古くからの友人で人柄は保証します』と売り込んでくれたらしい。

 すると菊枝は途端に態度を軟化させたそうだ。きっといつもの調子で優しく諭したのだろう。恐るべしイケメンドクターの外面。