合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

「わかりました。麻酔科と技師への連絡、あとCPBの回路の確認は早めにお願いします」

 鈴菜には到底わからない専門用語を交えながら悠磨は業務用と思われるスマートフォンの画面を操作し指示を出している。その整った横顔は真剣そのものだ。

(どういうわけか、苦手だと思っていた白衣も、悠磨さんが着ているとすごくかっこよく見える……)

 彼にとっては大切な戦闘着なのかもしれない。その凛としたたたずまいに思わず見とれてしまう。

 悠磨に寄り添うように立つ日村の美しさも目を引いた。年は鈴菜と同じか少し上くらいだろうか。薄化粧だが、顔立ちが整っていて背も高くてスタイルもいい。

 悠磨と日村のやりとりはとても息が合っていいた。

「井上さんのバイタルは安定しています。十六時に病室を出る予定ですが、細かいスケジュールはこのあと再確認してお送りします」
「お願いします」

 悠磨は彼女をとても信頼してるように見えた。他人が入り込めないような空気を目の当たりにして、やけに気持ちがざらつく。

(何考えてるの。看護師さんと仕事の話をしてるだけなのに)

 思わずふたりから視線を逸らしたとき。突然肩を軽くたたかれた。