合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

「小林様のおばあさまの処置をしてくれたのが悠磨さんだったのもすごくビックリしたんですけど、婚約者の藤田様が悠磨さんの学生時代の友達なんて」

 藤田と悠磨は応際大学付属高校からの同級生で、学部は違うが藤田も応際大を卒業しているらしい。

「でも最近はお互い忙しくてほとんど連絡を取っていなかった。最後に連絡が来たのはあいつが離婚した直後だったか。『もう結婚はこりごりだな』と言っていたんだが、さっきの様子じゃ婚約者に夢中のようだな」

「はい、かわいくてしょうがないみたいです」

 そんな話をしながら歩いていたのだが、ふと悠磨に見られていることに気づく。

「えっと、どうかしましたか?」

「いや、案外普通にしていると思って。ここにいて気分が悪くなったりしていないのか?」

 どうやら病院嫌いの鈴菜がここにいて大丈夫なのか気にしてくれているらしい。

(もしかしたらそれでエントランスまで送るって申し出てくれたのかな)

「はい、思ったより大丈夫でした」

 心配させないように明るく返す。

「俺もこんな格好しているし、怖がられるかと思った」

 悠磨は白衣の襟元を摘まんで口の端を上げた。