合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

「運よく早い便に乗れたんだ。驚かせようと思って内緒で家に向かっていたんだけど、途中で君からおばあさんが救急車で運ばれたってメッセージをもらったから……おばあさんは、大丈夫なのか?」

 相当慌てて駆けつけたのか、髪も服も少し乱れている。

 婚約者が来てくれてさらに安心したのだろう。瑞穂は力が抜けたような表情になった。

「そうだったんですね……おばあちゃん、もう意識は戻ってるし、命に別状はないって。こちら、診てくださった望月先生です」
 瑞穂の説明に藤田はホッとしたように深いため息をついた。

「よかった……先生、お世話になりました。僕は彼女の婚約者の……」

 そこで初めて悠磨の顔を見た藤田は、突然言葉を途切れさせた。

「え……お前、望月か?」

「久しぶり。今日は思いがけない出会いが多いようだな」

 悠磨は、目を細めて藤田に笑いかけた。



「まさか藤田様が悠磨さんのお友達だったとは」

 藤田と瑞穂と別れた後、エントランスまで送っていくという悠磨の申し出に甘えた鈴菜は、彼と並び病院の長い廊下を歩く。