合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 即座に判断した鈴菜はタクシーを呼ぶべくスマートフォンを取り出した。



(まさか、搬送先がここだったなんて……)

 タクシーに乗り込んだ瑞穂が告げた行き先は応際大学医学部付属病院だった。ともあれ、車を降り彼女に付き添って収容されたという入院病棟へ向かった。

 部外者の自分が病室に入るわけにもいかないので、瑞穂を見送った後は待合スペースの椅子に腰かけた。

(少し待ってみてお戻りにならなかったら職場に帰ろう……おばあさま、深刻な状況じゃないといいけど)

 ここからはナースステーションが見え、看護師たちが機敏に動き回っている。忙しそうな様子を見るともなしに見ていると、規則的な電子音と、病院特有のにおいがするのに気づき、鈴菜はハッとする。

(ここ、病院だった!)

 瑞穂の祖母や瑞穂自身への心配が勝って意識しなかったが、ここへきて自分が長年苦手としてきた場所にいることを自覚する。

(だ、大丈夫、私がなにかされるわけじゃないんだから。考えすぎ)

 怖い先生がいるわけでも、注射されるわけでもない。ざわざわし始めた胸を落ち着かせたくて自分に言い聞かせる。

「望月さん!」