合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

「私たちのことを気にしてくださっているんでしょうね」

 鈴菜の母からも昨日こちらの様子を尋ねる電話があったところだ。悠磨の父も新米夫婦の生活がうまくいっているか気になるのだろう。

「でも、金曜の夜は当直だから無理だな。俺から断っておくよ」

 そうですか、と納得しかけて鈴菜の頭にある考えが浮かんだ。

「あ、だったら私だけでお会いしていいですか」

「でも、義理の父と食事なんて面倒だろう?」

「せっかく来られるんですし、結婚式以来お会いするのも初めてですからご挨拶しておきます」

 不思議そうな顔をしつつも悠磨は「君がいいなら構わない」と了承してくれた。



 それから三日後、メゾン・ド・リュネに出勤した鈴菜はひとりの女性客を出迎え、打ち合わせコーナーに案内した。

「小林様、今日はお料理と引き出物のご検討でしたよね」

「はい、よろしくお願いします」