合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 申し訳ないと思うと同時に、彼の心遣いが純粋に嬉しかった。



 夜八時、マンションに帰宅した悠磨を出迎えた。この時間に返ってくるのはだいぶ早い。

 シャワーから出てくるのを待って、ダイニングで向かい合って少し遅い夕食にする。

「今日は休みだったので、手のかかる豚の角煮を作ってみました。今日は福沢さんがいたのでコツを聞いちゃいました」

 ハウスキーパーとの契約内容に調理関係は入っていない。それでも福沢はキッチンに立つ鈴菜に『下ゆでの前に表面を軽く焼いておくとおいしくなりますよ』などと親切に教えてくれた。

「ああ、今日は福沢さんが来る日だったか」

 たわいのない会話をしながら食事は進むが、昼間福沢に聞いた書類の件はなんとなく切り出しにくかった。

(それにしても悠磨さんはひと口がとても大きいな)

 以前から思っていたが、彼は食べるスピードが速い。忙しい中素早く済ませる癖がついているのだろう。

(今更だけど、本当に身を削ってお仕事してるんだな……悠磨さんは削りすぎな気がするけど)

「たくさん作ったので、明日のお弁当にも入れますね」

 すると悠磨は箸を止めた。

「楽しみだな」

「え?」