合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 腕に覚えのあるプランナーたちがこぞって応募するこのコンテスト。鈴菜も三年前から挑戦してきたが落選が続いていた。でも今回の案は自信があった。

『ふーん、そうなんだ。いいね〝オーロラウェディング〟』

 そう言って笑っていた土谷から突然別れを告げられたのは、それから数か月後だった。

『なんか、お前といてもつまらなくなったんだよね。お節介もウザいし、もう女として見られない』

 最初はなにかの冗談かと思った。

 たしかに会う頻度も減っていたし、家にもあまり呼ばれなくなっていたが、能天気な鈴菜は『おたがい忙しいしな』と考えそこまで深刻だと考えていなかった。

「とにかく、もう俺に一切関わらないでくれ。もちろん職場にも付き合っていたことは言うなよ」

 これまでとは態度を一変させた土谷に一方的に突き放され、あぜんとしたまま別れたのは半年前。

 あれ以来、鈴菜は仕事にのめりこんできた。恋人に〝つまらない〟〝女として見られない〟と言われたのがかなりショックで、現実逃避に走ったのだ。