○沖縄・別荘前ビーチ・昼
和歌・結衣子・楓・芽依「海~!青―い!きれい!」
和歌モノ『暑さ厳しい8月 私たちは沖縄旅行に来ている』
みんな水着で、和歌は花柄ビキニに透け感のある白レースのキャミ水着を重ねて、結衣子はワンピースタイプ、楓はフリルたっぷりの黒ビキニ、芽依はギンガムチェックビキニ。

奏斗「お~い、こっちこっち」※手招き
パラソルを設置してくれた男子と女子が合流。奏斗「お~みんな水着かわいいね」
和歌モノ『メンバーはカフェメンバー+芽依さんの8人』
和歌モノ『夏休み期間はカフェのお客さんも少ないため、毎年みんなで旅行が恒例らしい』
和歌モノ『結衣ちゃんの別荘を貸していただけるとのことで今年の行き先は沖縄になった』『さすがお嬢様…』
理人「俺は飲み物買ってきたりするから、先に海入っちゃいな」
奏斗「やった~!さんきゅー理人さん!」
芽依「早く入ろ~♪」
至「………俺ここで寝てたい…」
奏斗「至くーん…ユニコーンちゃん(※でっかい浮き輪)の上で寝てていいからプカプカしよ」

みんなが海に向かう。少し出遅れた和歌に香坂が振り向き声をかける。
香坂「和歌もほら、行こ」
和歌「あ、はい」
香坂「そこ痛そうな貝落ちてるから気を付けて」
和歌モノ『あの文化祭以来、香坂さんとは何もなかったかのように接している』
キス未遂を思い出す和歌。
和歌(あれはなんだったの?私のことどう思ってるの?…聞きたいことはたくさんあるけれど…)
和歌モノ『司法試験…香坂さんの夢を考えると…何も聞くことができない』

一方、パラソルに残った理人と結衣子。
理人「結衣子ちゃんも行っておいで?」
結衣子「一緒に飲み物買いに行きます」
理人「大した量じゃないから」
結衣子「でも…」
理人「こういうのは大人に任せて、みんなと遊んでおいで」
少し距離を置くような言い方に不満げにしながらも、みんなの元へ向かう結衣子。


○続・沖縄・海・昼
海の中に入り遊ぶ一行。浮き輪でプカプカしている和歌。
和歌(海入るの久しぶり…気持ちいい)
上から着ていたレースキャミが浮き輪に引っかかり肩ひもがずり落ちてきた。
和歌(あ…)
肩ひもを直そうとする和歌。
近くにいた別の団体の男性たちがニヤニヤしてその様子を見ている。
香坂が不機嫌そうに、その男性たちの視線を遮るように和歌に近づき、和歌に代わって肩ひもを直す。
和歌「……?」※驚いて赤くなる
香坂の心情はつゆ知らず、単に近くに来たことと触れられたことに驚き照れる和歌。
香坂「水着…」
香坂「可愛いし似合ってる……けどそれはダメ」
ポタポタと水滴が垂れる和歌の髪を触りながら香坂が話す。
和歌「それ…?」
赤くなりながらも意味が分からずキョトンとする和歌。
香坂がグッと和歌の浮き輪に体重をかけてきて、2人が密着するほど近づく。
和歌(近…)※ドキドキ
香坂「わからなくていいよ」
ますますわからなくなる和歌。しばらく浮き輪で固まっていることしかできなかった。


○スーパーの店内・昼
スーパーの店内で買い物かごを持つ奏斗と一緒に買い物する和歌。
奏斗「いや~遊んだね~!」
和歌モノ『思いっきり海で遊び、夜のバーベキューに向けてみんなで準備をする中で、私たち2人は買い出しに来ている』
奏斗「食材は理人さんが用意してくれたみたいだから、飲み物とお菓子だね」
お酒やソフトドリンクを2人で選んでかごに入れていく。
奏斗が「杏仁オレ」と「ラムレーズンアイス」というバーベキューには珍しいものを入れた。
和歌「それ…」
奏斗「あぁこれね、楓の。昔からあったらこれなんだよ」「普段もだけど、飲み会の後もこれ飲んで食べんの」
和歌「なかなか…初めて見ました」
奏斗「あまり売ってないよね。なぜか大学とか俺らの高校のコンビニにあるんだけど」「まさかこんなところにあるとは」
笑いながらも優しい顔で話す奏斗。
和歌「楓さんのことよくわかってますよね」
奏斗「どうかな…でもまぁこうやって…いつも心のどこかにいる存在ではあるよね」
初めて見る奏斗の真剣な表情とその言葉の内容にドキッとしつつ、楓との関係性に微笑ましくなる和歌。


○別荘・バーベキュー・夜
一同「かんぱ~い!」
バーベキューしながらみんなで乾杯。※和歌・結衣子はソフトドリンク
和歌「いいなぁお酒…せっかくの大学生だし…」
香坂「こーら未成年、自分の体大事にしなさい」
持っていたビールの缶を和歌の頭に置きながら話す。
香坂を見上げ照れる和歌。
和歌モノ『こんなちょっとしたやりとりでも…嬉しくなってしまう』
奏斗「和歌ちゃん、食べてる?乗せちゃうよ」
お皿に焼けた海鮮を乗せてくれる奏斗。
和歌(あ……)
和歌「…ありがとうございます」
笑顔でお礼を言う和歌。
至「………ダウト」
和歌「…至さん?」
突然の至の一言に一同驚いて至の方を見る。
至「海鮮…嫌いでしょ」
奏斗「そうなの!?」
和歌「あ…はい実は…すみません」
奏斗「言ってよ~!ごめんごめん」※和歌のお皿をひょいっと取り替える
香坂「…至は何で知ってたの?」
至「…前に学食で話してたの聞こえた」
和歌「お恥ずかしいです…」
少し面白くなさそうな顔を香坂がしていた。


○別荘リビング・夜
バーベキューも終わり、各自部屋に戻り、別荘のリビングにはソファで水を飲む香坂だけがいる。
首にタオルをかけたお風呂あがりの和歌がリビングを通り、メガネをかけた香坂を見つけ、少しドキッとする。
和歌(声かけないのも変だし…)
和歌「香坂さん…何してるんですか」
香坂「…和歌」
じっと和歌を見る香坂。
和歌(メガネ…かっこいい)※ボーっと見とれる
香坂「…風呂上り?」
和歌「はい…」(なんか様子が…)
ポンポン
香坂が和歌に座ってと言うように、ソファの自分の隣をポンポンとしている。
和歌「……」
緊張して一瞬ためらう和歌だが、香坂がポンポンを続けているので仕方なく隣に座る。
和歌「失礼します…」

「…………」沈黙
和歌(なにか…話さないと…)
緊張しっぱなしの和歌の隣で香坂が落ち着いた口調で話し始める。
香坂「シャンプーの香り…」
和歌「……?」
香坂「海でもそうだけど…こんな無防備な格好で男の前に来ちゃだめだよ」
真っ赤に照れる和歌を気にせず、バスタオルの間から出た和歌の髪を触る香坂。
香坂「…バーベキューの時…嫌いなものは言ってよ。遠慮しないでって前に言ったでしょ」
和歌「う…つい…」
香坂「けど…至だけ知ってたのなんかズルい」
香坂「俺だけが和歌のこと知ってるのがいい」
和歌「支離滅裂してます」
必死にドキドキを隠して平静を装う和歌。
香坂「あと…」
そう言ってソファから立ち、和歌の前に覆いかぶさる。
香坂「…なんで俺だけ名前じゃないの。他のやつらは名前で呼んでるのに」
香坂「俺も名前がいい」
ソファで壁ドンのような状態になっている2人。
和歌「こっ香坂さん…酔ってますね?」※照れてテンパっている
香坂「酔ってない」
ソファでできる限り後ろに反ろうとする和歌に対して、香坂は距離を詰めてくる。
香坂「ほら、名前」
和歌(ち、近…)
和歌モノ『文化祭を…思い出してしまう…』
文化祭のキスを思い出し真っ赤な和歌に対して、真顔でじっと見つめる香坂。
和歌(……ダメだ…私が限界)
和歌「…ゆ、侑士…さん……」
目をぎゅっとつむり、恥ずかしそうに名前を呼ぶ和歌。
香坂「…ん」
満足そうに微笑む香坂。

香坂が更に近づいてくる気配を感じ、和歌は目を開けると同時に、肩に重みを感じた。
和歌「……!」
香坂の手の力が抜け、和歌に覆いかぶさり肩に顔を乗せるような体勢になる。
和歌「こっ…香坂さん!」※赤くなりパニック
香坂「………」※寝ている
和歌「やっぱり…酔ってたんじゃん…」
その場から動けず、照れて真っ赤になり1人で焦る和歌。
和歌モノ『私だけ…ズルい…』
無意識に左手を香坂の背中に回し、右手で目の前にある香坂の髪をなでる和歌。
抱きしめているような形になっていることに気づきハッとする。
和歌(わ、私…今…)


○別荘・女子部屋・夜
和歌以外の女子3人が部屋でくつろいでいる。
ガチャ
真っ赤な顔した和歌が部屋に戻ってくる。(香坂から脱出し、混乱していたので彼はリビングに置いてきた)
芽依「おかえり~和歌ちゃん」
和歌「…あ…ただいま…です」
ボーっとしている和歌。
楓「どうしたの?何かあった?」
和歌「…いえ」
ボーっと布団の方へ歩いてくる和歌。
結衣子・楓・芽依(侑士さんとなにかあったな…)※バレバレ
3人にはお見通しでニヤニヤされる。
楓「ねぇ、せっかくだし色々話そうよ」
芽依「女子会ってやつ?いいね~♪」
3人の元へ来てベッドに腰かける和歌。
和歌(私…なにした…?)
和歌(まだ…頭が追い付かない…)

ふと見ると楓が先ほど買った杏仁オレを飲んでいる。
和歌「楓さんそれ…」
楓「ああ、これ?変わってるけど美味しいんだよ」「和歌ちゃん買ってきてくれてありがとね~」
和歌「それ…奏斗さんが…」
楓「…そっか、奏斗が…うん。やっぱそっか…」
そう言って嬉しそうにペットボトルを見つめる楓。
和歌(楓さん可愛い…)
意を決して楓に聞こうとする和歌。
和歌「あっあの…楓さん」
楓「ん?」
和歌「し、失礼だとは思うのですが…」「奏斗さんと…」
和歌(つ、付き合ってたりするのかな…)※ドキドキ
楓「………」
照れながらどこか少し寂し気な表情で楓が口を開く。
楓「うん…付き合ってた、高校のころ」
一同「…………」
一同「ええっ!?」
和歌(付き合って…た?付き合ってる、じゃなくて…?)


――第5話終了―――