だって(仮)だもの。


「それって両思い確定でしょ!」
「そうに決まってる‼︎」

 私たちの興奮はマックスになった。

 ところがそのとき、廊下側の窓から泣きベソが聞こえてきた。
 私たちが作り上げていた楽しい空気は、一瞬にして蒸発してしまう。

「副会長ー!」
「助けてくださーい‼︎」

 副会長とは私のことだ。
 生徒会副会長の任についている。
 とはいえ、すでに次年度の生徒会メンバーに仕事を引き渡していて、今は名前だけなのだけど。

「みんな、ごめん。ちょっと行ってくるね」

 私はすぐに声の主たちのもとへ向かう。
 決して慌てた素振りは見せないようにして。

 そうして、安心させるためににっこりして、わざとのんびり気味に訊ねた。

「どうかしたの?」
「プロムの日に講堂を飾るお花が!」