だって(仮)だもの。


(プロムでは寛太郎と話すのはムリね。なら、みんなと目いっぱい楽しもう!)

 踊って、喋って、スイーツを摘んだあとは、また喋って。
 いっぱい笑った。

 それでも、寛太郎が講堂のどこにいるかを常に捉えていた。
 友達との会話もうわの空なんかじゃなくて、きちんと聞いていた。
 それでも寛太郎のことを見失ったりはしなかったのだ。

(手首のコサージュが、寛太郎のブートニアから電波か何かを受信してたりして……)

 本気ではないけれど、そんな気がしてしまう。

 そんな不思議な感覚を覚えていたときだった。
 突如として全ての光と音楽が消えた。

「えっ⁉︎」
「停電?」
「やだ、早く点かないかなあ」

 プロム実行係である後輩たちも一緒になってオロオロしているのが聞こえてくる。