だって(仮)だもの。


 寛太郎は蝶結びの形を整える間、神妙な顔をしていた。
 そしてそれが終わると、何も言わずに背中を向け、講堂の入口のほうへスタスタと行ってしまった。

 麗華と綾乃も、受付係の後輩も、これから受付しようとやってきた人たちも驚いていた。

「ち、ちょっと、どういうこと⁉︎」
「ふたり、付き合ってるの?」

 麗華と綾乃が興奮して訊いてきた。
 どういうことかなんて、私にもさっぱりだ。
 綾乃の質問にしか答えられない。

「付き合ってはいない、本当に!」
「なら今のは公開告白ってこと?」
「うわ、大っ胆!」

(そう……なの……?)

 そうとしか考えられない気がする。
 と同時に、だったらどうして笑いかけてもくれなかったのかという不安も襲ってくる。