だって(仮)だもの。


◻︎

「お疲れさ……」

 受付係をしている生徒会の後輩を労おうとしたのに、最後まで言葉を紡げなかった。
 クラッチバッグからチケットを出す手が震える。
 受付テーブルの傍で寛太郎が立っていることに気がついたからだった。
 できるだけ、そっちを見ないようにする。

(何でこんなところに、ひとりで突っ立ってるの? 誰かと待ち合わせ? ……まさか女の子と? だったら見たくない!)

 寛太郎はそういうタイプじゃないと思う一方で、寛太郎なら婚約解消を聞かされた翌日には、プロムのパートナーを見つけることだって可能だっただろうとも思った。

(あのとき寛太郎に声をかけてた子とか……)

 一刻も早くこの場から離れたいと思った。

 そうしてチケットを手渡した手を引っこめようとしたとき、いきなり手首に何かが絡みつく。
 リボンテープだ──