だって(仮)だもの。


 寛太郎とはあれっきりだ。

(もう聞いたかな? きっと聞いたよね……)

「できた! どう?」

 私は鏡の自分に意識を戻す。

「うわあ、ステキ!」
「動画ほどは盛れなかったんだけど……」
「ううん、すっごく気に入った‼︎」

 マシューズ学園に入学した目的は果たせなかった。
 それだけは淋しい。

 でも、ほかの高校に通いたかったかと訊かれたら、即答でノーだ。
 友達に恵まれて、今こんなふうに親密な時間を過ごせている。

 これ以上なんてありえない。
 どう考えても最高の高校生活。
 そして、これからおこなわれるプロムでクライマックスを迎えようとしている。

 メイクとネイルをして、準備は整った。
 軽く夕食を食べて腹ごしらえしたら、いよいよ出発。
 私たちはプロム会場を目指して、玄関のドアを飛び出した。