だって(仮)だもの。


◻︎

「そこで止めて!」

 綾乃の代わりに、人差し指で一時停止を押す。
 綾乃の両手は私の髪を押さえていて、ふさがっている。
 麗華もまた、私たちの横でヘアアイロンの準備をしていた。

 私たちは麗華の家に集まって、お互いのヘアアレンジをしている最中だ。
 事前に希望するヘアアレンジの動画を見せ合って、イメトレは十分やったつもりだった。

 でも、イメージと現実は全然別物。
 私はさっき麗華の担当をして、苦戦しまくった。
 動画の5倍くらい時間をかけて、どうにか82点くらいの出来(麗華はめちゃくちゃよろこんでくれたけど)。

 そうして今、私のために綾乃ががんばってくれている最中だ。

「麗華、こっち来て、このピン押さえてて!」
「了解!」

 ついには、ふたりがかり。
 でも、ふたりは楽しそうに作業してくれている。

 もちろん私も楽しいし、うれしい。
 まだプロムは始まってもいないにも拘らず。