だって(仮)だもの。


 こっちは何が分かったのかすら分からない。
 それでも今度こそ私は解放された。

 私の心臓はまだバクバクしている。

(ひょっとして婚約(仮)を解消する話、まだ聞いてないとか? だけど、それにしたって私たちの関係は内緒にしてるのに……)

 とはいえ、プロムまでには聞くことになるだろう。
 そうなれば、今の会話なんて何の意味もなくなる。
 寛太郎が私のことを家まで迎えにくると言ったことも──

「あの、寛太郎くん……」

 私がその場から離れてすぐに女子の声がした。
 私は、ぱっと振り返ってしまった。

(確か寛太郎と同じA組の……)

「少し時間いいかな? プロムのことなんだけどお願いがあって……」

 はにかんでいる様子から、プロムのパートナーになってほしいと言うつもりなのだと察した。
 私はその場から急いで逃げ出した。