だって(仮)だもの。


「きゃあ!」
「よかったねえ」
「ずっと好きだったもんね」
「おめでとう!」

 私もお祝いの言葉をかける。

「だから、薫子たちとプロムに行くって言ってたけど……」
「いいの、いいの」

 嘘ではなかった。

「でも、会場では私たちとも喋ってね」
「もちろん!」

 彼氏がいる子は彼氏に迎えにきてもらって、一緒に会場へ向かうのが慣例となっている。

 彼氏がいない場合には、友達同士で誘い合って行くことが多い。
 彼氏がいなくても、肩身を狭くする必要はないのだ。

 私も“彼氏”はいない。
 私と小百合は、もうふたり、麗華と綾乃を加えた4人のグループでワイワイ行こうと約束していた。

 だけど、小百合が雄彦くんにエスコートしてもらえるなら、そっちを選んでくれて構わない。
 むしろ、そうしてほしい。