だって(仮)だもの。


◻︎

 私と寛太郎との婚約は、(仮)が取れることがないまま白紙撤回された。
 だけど、生徒会長と副会長であることには変わりはない。

「プロムのことだけど」

 あのときは逃げ切ったものの、今日になって再び捕まってしまっている。

 廊下を歩いていたときに、偶然寛太郎とすれ違った。
 そのすれ違いざまに連行され、現在校舎の突き当たりに追い詰められている。

「それなら解決済みだから」
「ああ、言ってたな。それは何があって、どう解決したんだよ?」

(私はもう寛太郎の婚約者(仮)ではないんだ。副会長として、会長に淡々と報告すればいいだけのことだよね)

 そう思うと、すんなり話せる。

「毎年講堂に飾る花を配達してくれるお花屋さんに、今年は断られちゃった」
「何で⁉︎」
「んだけど、ほかのお店に手配してもらえることになったの!」
「そっか」

 ほっと胸を撫で下ろしたのが分かった。