だって(仮)だもの。


 それに寛太郎はモテる。
 今は誰から告白されても断っているらしいけれど、いつまでもそうさせておくのは忍びない。

(もう解放してあげなくちゃ……)

「私のために考えてくれた話だったのに、ごめんなさい」

 そう答えるだけが精いっぱいだった。

「謝ることじゃないよ。薫子がしあわせになれそうだと思ったから、仮に婚約させただけなんだ。そうでなかったのなら、無理をする必要はない」

 そう、私と寛太郎は婚約(仮)中だ。

 寛太郎のお父さんは、イベント会社を経営している。
 大きなイベントを企画したときに、会場として私のお父さんのホテルを使ってくれた。
 それをきっかけにして、ふたりは親しくなった。