平和な放課後。
 推薦で大学進学が決まっている私たちは、もはや日課となっているおしゃべり中だ。
 話す内容は他愛もないことばかり。

 それでも、高校生活は残り僅か。
 このメンバーももうすぐ解散となる。
 口にするまでもなくそのことを分かっているから、毎日こうして教室の一角に集っているのだった。

 でも、今日だけは違った。
 とてもうれしい報告会がおこなわれていた。

「思い切って雄彦にお願いしたんだ。一緒にプロムに行ってほしいって」

 ここ私立マシューズ学園ではもうすぐ、卒業を記念したダンス・パーティー、プロムが開催されることになっている。
 卒業生が正装して臨む、特別なイベント。

「それで? それで?」

 視線は小百合に集中していた。

「OKだって!」

 小百合は照れまくりながら、両手で真っ赤になっている頬を包む。