星の雫 ~私の彼はヤクザの跡取り~

廊下を歩くハルカ君の背中が見え
私は「待って…」と無意識に声を漏らしながら
手を伸ばしてハルカ君の右腕を掴んだ。


するとハルカ君はびっくりしたのか
勢いよく振り向いたかと思えば
「…え、ヒカリ?」
私の姿を見てますます驚いていた。


「あ...あの、」


…廊下にももちろん生徒がおり
私達に何人かの視線を向いているのを感じる。


「…」


ハルカ君を引き留めたのは良いものの
この状況で何て言ったら良いのか分からず…
緊張して声が出せないでいると


「…あ、そういえば俺先生に呼ばれてたんだったね」


ハルカ君は唐突にそんな事を言い出し


「木藤さん、呼び止めてくれてありがとう」


ハルカ君は皆に聞こえるようにそう口にしたかと思えば、こっそりと私の耳元で
"ヒカリ、プールで待ってるから"
そう囁いて、再びハルカ君は歩き出した。