○大学の食堂(昼)
由美子「食堂、混んでるねー」
みか「うん。あっ、由美子。あの席空いてるよ」
ランチが乗ったトレーを持ちながら、食堂のテーブルに、隣り合って座る2人。
由美子、何かに気づき、にやりとする。
由美子「みか。あそこ、あそこ」
みか「ん?」
少し離れた窓辺の席で、星斗の姿を見つけるみか。
きらきらの雰囲気を出す、垢抜けた男女メンバーに囲まれて、人気者の様子。
由美子「星斗社長ってば、相変わらずかっこいいね」
みか「うん。そうだね」
由美子「話しかけてきたら?」
みか「ええっ。そりゃあ、そうできたらいいけど……」
みかモノ「ついこの前まで『人気者の星斗社長』としか、見えてなかったのに」
みかモノ「今は彼の世界に入りたいって思う、自分がいる」
由美子「みか。やっぱり恋してる顔じゃん」
みか「……!」
みか「……うん」
由美子「えっ。認めた!? どうしたの、やっぱり星斗社長のこと、好きなの?」
みか「うん……好き」
頬を染めて頷くみか。
隣に座った由美子が、抱きつく。
由美子「きゃ〜! よく言った! えらい!」
みか「えへへ……ありがと」
由美子「でも、それなら、ここからが勝負だよ!」
由美子がびしっと、みかに対して指をさす。
由美子「星斗社長にはライバルがいっぱいだからね。そもそも、彼女がいないかもリサーチしなきゃ」
みか「えっ。やっぱり……彼女いるのかな?」
由美子「どうだろうね〜。流石にいないと信じたいけどなあ。
あんだけみかに脈ありなことしておいて、彼女いたらクズ男だよ」
みか「みゃ、脈あり、なのかな?」
由美子「脈ありでしょ! アイス奢ってくれて、この前もバイト終わりに、駅まで送ってもらったんでしょ?」
みか「うん……でもそう言葉にされてみると……」
みか「ただ雨宮くんが、紳士なだけな気もしてきた……」
由美子「えー? うーん……たし、かに? ぎりぎり、女友達にもしそうなラインだね……」
みか・由美子「……」
由美子「みか! やっぱりグズグズしてちゃダメだよ!」
みか「うん! そうだね!?」
熱の入った2人、お互いにガッツポーズしあっている。
○みかの部屋・夜
パジャマ姿のみか。ベッドに寝転びながら、考えごと。
みか(と言ってもなあ……)
みか(「好き」に気づいた私は 次に何がしたいんだろう)
みか(雨宮くんと、恋人になりたい?)
星斗と付き合ったときのシチュエーションを想像するみか。
海、山、遊園地に遊びに行く2人の様子。
遊園地のクリスマスツリーの前で、
星斗「2人でツリーを見るって夢、叶ったね」
と微笑む姿を想像するみか。
みか「きゃー!」
きゅんきゅんして、ベッド横のクッションを抱きしめながらじたばたするみか。
みか「雨宮くんと一緒にやりたいこと、たくさんあるなあ」
みか(そうやって思いつくのも 雨宮くんのおかげだな)
みか、ベッドから立ち上がり、姿見の中にいる茶髪の自分を見つめる。
みか(雨宮くんがいたから、自分のやりたいこと、やろうって思えた)
みか(この気持ち、もう忘れたくない)
みか「よし」
みか、何か決心した表情。
○みかの部屋(昼)
翌日。姿見には、おしゃれしたみかが映る。
みか「うん。いい感じ!」
みかモノ「今日は、バイトも学校もない、休日」
みかモノ「とっておきの服と、とっておきのメイクで」
みかモノ「これから、『WISH LIST』ノートをお迎えします!」
○電車の中(昼〜夕)
みか、スマホを操作している。
画面の中には「うっとりする書き心地」と書かれたノートが。
表紙には、おしゃれなタッチでアイスクリームのイラストが描かれている。
みか(昨日の夜、ネットで見つけたノート)
みか(このノートを見つけた瞬間、びびっときたんだよね)
みか(あの単語帳の『WISH LIST』も、もちろん宝物だけど……)
みか(今の私でもう一度、新しいWISHを書いて、叶えていきたい)
○吉祥寺の文房具店(夕)
みか「えっ。売り切れ、ですか?」
店員「はい。午前中に、最後の一冊が売り切れてしまったようで……」
申し訳なさそうな店員。
みか「そうですか……。ありがとうございます」
店員「お客様。そちらのノートに近い書き心地でしたら、この辺りのコーナーもおすすめです。どうぞ、お立ち寄りくださいね」
店員に勧められたコーナーで、色々なノートが飾られた棚を見るみか。
みか(これは、表紙が革張りですごく高級そう。こっちは、紙質の手触りがめちゃめちゃ気持ちいい)
みか(でも……)
みか( あのノート『が』、よかったな)
みか、諦めきれず、スマホの画面を見る。
ノートが映し出された画面の「店舗在庫」ボタンを押す。
みか(やっぱり、どこも×マークだ……)
みか(今朝見た時は、吉祥寺店だけが△だったもんな。……あれ?)
「横浜店」だけ「△」マークになっているのに気づくみか。
慌てて、店員さんを呼び止める。
みか「あの、すみません。これ、横浜店さんに確認していただいてもいいですか?」
数分後。
レジ横で、そわそわと待っているみか。
そこに、店員さんがぱっと輝いた顔で、駆け寄ってくる。
店員「お客様! 横浜店に在庫、ございました!」
店員「つい先ほど、追加で納品されたみたいです」
みか「わあっ、本当ですか?」
みかも、ぱっと顔を輝かせる。
店員「こちらにお取り寄せなさいますか? 3日後にはお渡しできるかと思います」
みか、それを聞いて、意を決した表情。
みか「あの、もしできたら、なんですけど……」
みか「今から、取りにいってもいいですか?」
○横浜・赤レンガ倉庫前の港が見える場所(夜)
みか「やったー!!」
みか、星空に向かって、買ったばかりのノートを持ち上げる。
カバンからスマホを取り出し、横浜の観覧車が映る夜景をバックに、ノートの写真を撮る。
みか「ふふ。まさか、横浜まで来ちゃうなんてな」
みか(でも……)
みか(最高の気分……!)
ノートを抱きしめて、じんわりした表情のみか。
みかモノ「数時間前の自分は一度、諦めかけた。これ『で』いいってなりかけたけど」
みかモノ「でもやっぱり、これ『が』いい。これ『が』好きって選んだものが、今ここにある」
みかモノ「画面の中じゃない、頭の中でもない」
みかモノ「今こうして、触れる距離にある」
みかモノ「私のWISHが、またひとつ叶ったんだ」
みか、ノートを抱きしめたまま、スマホを操作する。
SNSのメッセージアプリを開いて、星斗とのチャットを開く。
みか(それも全部、雨宮くんのおかげだ)
みか(この気持ち、伝えたいな)
みか、画面にメッセージを打ち込む。
みか【お疲れ様、突然ごめんね。今、横浜に来てて、このノートを買ったよ】
みか【これをね、新しいWISH LISTにするんだ】
さっき撮った写真を添えて、送信ボタンを押すみか。
さらに続けて、
【全部、雨宮くんのおかげだよ。ありがとう】と打ち込んでいる途中で……。
みか「あれ……?」
すぐに既読マークがつく。
星斗【ちょっと待ってて】
星斗からのメッセージがくる。
みか(『ちょっと待ってて』?)
すぐに、電話がかかってくる。
慌てて通話ボタンを押すみか。
みか「も、もしもし?」
星斗「あはは。やっぱ俺って、すごいラッキーみたい」
みか「え?」
星斗「後ろ」
私服姿の星斗が、笑顔でこちらに手を振っている。
みか「……!」
星斗「会えた」
みかモノ「今日来るはずのなかった場所で、今日会えなかったはずの人が、そこにいた」
みかモノ「それはまるで、神様がくれた、ご褒美みたいで」
みかモノ「私はもっと、欲張りになったみたいだ」
みか、ぎゅっとノートを握りしめながら、
近づいてきた星斗に向けて、少し大きな声を出す。
2人のバックに、綺麗な横浜の夜景。
みか「雨宮くん!」
星斗「ん?」
みか「私のお願い事。また一緒に、叶えてくれますか?」
みか「私、あなたのこと、もっと知りたいんです」
みかの言葉に、一瞬驚いた表情を見せる星斗。
だがすぐに、みかに向かって手を差し伸べて微笑む、星斗のアップ。(プロローグの伏線回収)
星斗「うん」
星斗「俺と叶えようよ、一緒に」
星斗「願い事、全部」
みか、きらきらとした瞳で、星斗と自分の未来にときめいている表情。
みかモノ「私の願い事……やりたいこと、好きなこと」
みかモノ「もう一度、見つけたい」
みかモノ「この人と」
みかモノ「今の私と、今のきみ。2人で叶えるWISH LISTが、始まっていくーー」
由美子「食堂、混んでるねー」
みか「うん。あっ、由美子。あの席空いてるよ」
ランチが乗ったトレーを持ちながら、食堂のテーブルに、隣り合って座る2人。
由美子、何かに気づき、にやりとする。
由美子「みか。あそこ、あそこ」
みか「ん?」
少し離れた窓辺の席で、星斗の姿を見つけるみか。
きらきらの雰囲気を出す、垢抜けた男女メンバーに囲まれて、人気者の様子。
由美子「星斗社長ってば、相変わらずかっこいいね」
みか「うん。そうだね」
由美子「話しかけてきたら?」
みか「ええっ。そりゃあ、そうできたらいいけど……」
みかモノ「ついこの前まで『人気者の星斗社長』としか、見えてなかったのに」
みかモノ「今は彼の世界に入りたいって思う、自分がいる」
由美子「みか。やっぱり恋してる顔じゃん」
みか「……!」
みか「……うん」
由美子「えっ。認めた!? どうしたの、やっぱり星斗社長のこと、好きなの?」
みか「うん……好き」
頬を染めて頷くみか。
隣に座った由美子が、抱きつく。
由美子「きゃ〜! よく言った! えらい!」
みか「えへへ……ありがと」
由美子「でも、それなら、ここからが勝負だよ!」
由美子がびしっと、みかに対して指をさす。
由美子「星斗社長にはライバルがいっぱいだからね。そもそも、彼女がいないかもリサーチしなきゃ」
みか「えっ。やっぱり……彼女いるのかな?」
由美子「どうだろうね〜。流石にいないと信じたいけどなあ。
あんだけみかに脈ありなことしておいて、彼女いたらクズ男だよ」
みか「みゃ、脈あり、なのかな?」
由美子「脈ありでしょ! アイス奢ってくれて、この前もバイト終わりに、駅まで送ってもらったんでしょ?」
みか「うん……でもそう言葉にされてみると……」
みか「ただ雨宮くんが、紳士なだけな気もしてきた……」
由美子「えー? うーん……たし、かに? ぎりぎり、女友達にもしそうなラインだね……」
みか・由美子「……」
由美子「みか! やっぱりグズグズしてちゃダメだよ!」
みか「うん! そうだね!?」
熱の入った2人、お互いにガッツポーズしあっている。
○みかの部屋・夜
パジャマ姿のみか。ベッドに寝転びながら、考えごと。
みか(と言ってもなあ……)
みか(「好き」に気づいた私は 次に何がしたいんだろう)
みか(雨宮くんと、恋人になりたい?)
星斗と付き合ったときのシチュエーションを想像するみか。
海、山、遊園地に遊びに行く2人の様子。
遊園地のクリスマスツリーの前で、
星斗「2人でツリーを見るって夢、叶ったね」
と微笑む姿を想像するみか。
みか「きゃー!」
きゅんきゅんして、ベッド横のクッションを抱きしめながらじたばたするみか。
みか「雨宮くんと一緒にやりたいこと、たくさんあるなあ」
みか(そうやって思いつくのも 雨宮くんのおかげだな)
みか、ベッドから立ち上がり、姿見の中にいる茶髪の自分を見つめる。
みか(雨宮くんがいたから、自分のやりたいこと、やろうって思えた)
みか(この気持ち、もう忘れたくない)
みか「よし」
みか、何か決心した表情。
○みかの部屋(昼)
翌日。姿見には、おしゃれしたみかが映る。
みか「うん。いい感じ!」
みかモノ「今日は、バイトも学校もない、休日」
みかモノ「とっておきの服と、とっておきのメイクで」
みかモノ「これから、『WISH LIST』ノートをお迎えします!」
○電車の中(昼〜夕)
みか、スマホを操作している。
画面の中には「うっとりする書き心地」と書かれたノートが。
表紙には、おしゃれなタッチでアイスクリームのイラストが描かれている。
みか(昨日の夜、ネットで見つけたノート)
みか(このノートを見つけた瞬間、びびっときたんだよね)
みか(あの単語帳の『WISH LIST』も、もちろん宝物だけど……)
みか(今の私でもう一度、新しいWISHを書いて、叶えていきたい)
○吉祥寺の文房具店(夕)
みか「えっ。売り切れ、ですか?」
店員「はい。午前中に、最後の一冊が売り切れてしまったようで……」
申し訳なさそうな店員。
みか「そうですか……。ありがとうございます」
店員「お客様。そちらのノートに近い書き心地でしたら、この辺りのコーナーもおすすめです。どうぞ、お立ち寄りくださいね」
店員に勧められたコーナーで、色々なノートが飾られた棚を見るみか。
みか(これは、表紙が革張りですごく高級そう。こっちは、紙質の手触りがめちゃめちゃ気持ちいい)
みか(でも……)
みか( あのノート『が』、よかったな)
みか、諦めきれず、スマホの画面を見る。
ノートが映し出された画面の「店舗在庫」ボタンを押す。
みか(やっぱり、どこも×マークだ……)
みか(今朝見た時は、吉祥寺店だけが△だったもんな。……あれ?)
「横浜店」だけ「△」マークになっているのに気づくみか。
慌てて、店員さんを呼び止める。
みか「あの、すみません。これ、横浜店さんに確認していただいてもいいですか?」
数分後。
レジ横で、そわそわと待っているみか。
そこに、店員さんがぱっと輝いた顔で、駆け寄ってくる。
店員「お客様! 横浜店に在庫、ございました!」
店員「つい先ほど、追加で納品されたみたいです」
みか「わあっ、本当ですか?」
みかも、ぱっと顔を輝かせる。
店員「こちらにお取り寄せなさいますか? 3日後にはお渡しできるかと思います」
みか、それを聞いて、意を決した表情。
みか「あの、もしできたら、なんですけど……」
みか「今から、取りにいってもいいですか?」
○横浜・赤レンガ倉庫前の港が見える場所(夜)
みか「やったー!!」
みか、星空に向かって、買ったばかりのノートを持ち上げる。
カバンからスマホを取り出し、横浜の観覧車が映る夜景をバックに、ノートの写真を撮る。
みか「ふふ。まさか、横浜まで来ちゃうなんてな」
みか(でも……)
みか(最高の気分……!)
ノートを抱きしめて、じんわりした表情のみか。
みかモノ「数時間前の自分は一度、諦めかけた。これ『で』いいってなりかけたけど」
みかモノ「でもやっぱり、これ『が』いい。これ『が』好きって選んだものが、今ここにある」
みかモノ「画面の中じゃない、頭の中でもない」
みかモノ「今こうして、触れる距離にある」
みかモノ「私のWISHが、またひとつ叶ったんだ」
みか、ノートを抱きしめたまま、スマホを操作する。
SNSのメッセージアプリを開いて、星斗とのチャットを開く。
みか(それも全部、雨宮くんのおかげだ)
みか(この気持ち、伝えたいな)
みか、画面にメッセージを打ち込む。
みか【お疲れ様、突然ごめんね。今、横浜に来てて、このノートを買ったよ】
みか【これをね、新しいWISH LISTにするんだ】
さっき撮った写真を添えて、送信ボタンを押すみか。
さらに続けて、
【全部、雨宮くんのおかげだよ。ありがとう】と打ち込んでいる途中で……。
みか「あれ……?」
すぐに既読マークがつく。
星斗【ちょっと待ってて】
星斗からのメッセージがくる。
みか(『ちょっと待ってて』?)
すぐに、電話がかかってくる。
慌てて通話ボタンを押すみか。
みか「も、もしもし?」
星斗「あはは。やっぱ俺って、すごいラッキーみたい」
みか「え?」
星斗「後ろ」
私服姿の星斗が、笑顔でこちらに手を振っている。
みか「……!」
星斗「会えた」
みかモノ「今日来るはずのなかった場所で、今日会えなかったはずの人が、そこにいた」
みかモノ「それはまるで、神様がくれた、ご褒美みたいで」
みかモノ「私はもっと、欲張りになったみたいだ」
みか、ぎゅっとノートを握りしめながら、
近づいてきた星斗に向けて、少し大きな声を出す。
2人のバックに、綺麗な横浜の夜景。
みか「雨宮くん!」
星斗「ん?」
みか「私のお願い事。また一緒に、叶えてくれますか?」
みか「私、あなたのこと、もっと知りたいんです」
みかの言葉に、一瞬驚いた表情を見せる星斗。
だがすぐに、みかに向かって手を差し伸べて微笑む、星斗のアップ。(プロローグの伏線回収)
星斗「うん」
星斗「俺と叶えようよ、一緒に」
星斗「願い事、全部」
みか、きらきらとした瞳で、星斗と自分の未来にときめいている表情。
みかモノ「私の願い事……やりたいこと、好きなこと」
みかモノ「もう一度、見つけたい」
みかモノ「この人と」
みかモノ「今の私と、今のきみ。2人で叶えるWISH LISTが、始まっていくーー」
