結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない

 庶民的な顔がこんなに立体的になるなんて。
 目も大きく見えるし、顔も明るく見える。
 
「肌に少し赤みが出ているから、ベースに少しグリーンを塗るといいわよ」
 使ったのはコレだと見知らぬ基礎化粧品を見せられる。
 心は乙女のルルに、身も心も女のはずの私が完敗だ。自分の美意識の低さがイヤになる。

「アキちゃん、おまたせ~」
 沙紀を上から下まで眺めた暁良は満足そうに目を細めた。

「肌が白いから、この子なんでも似合うわ」
「そうか」
「スーツとフォーマルはちょっと時間貰ってもいい?」
「再来週の金曜に間に合えば大丈夫だ」
 暁良はぐるっと周りを見渡すと、棚に置かれたショールを指差す。
 
「あれも」
「あらやだ、まさかあんまり肌を見せたくないのぉ~?」
 ルルが手に取ったのは白から紫へのグラデーションが美しいショール。
 
 待って、これ色違いをテレビで見たことある!
 有名な女優さんが付けていたブランドのショール!
 このショール、私の給料より高かったはず!
 
「あとは適当に頼む」
「ルルちゃんにおまかせあれ」
「あの、東雲様」
「沙紀、呼び名」
 待って、待って、待って!
 なんで私の名前が呼び捨てになっているの?
 
「暁良様、あのこんな高級なドレス、私ではお支払いが……」
「必要経費だ」
 気にするなと口の端を上げた暁良の顔は、やはり黒豹のようだった。