結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない

「あ、あの東雲様」
「暁良だ」
 今はそんなことを気にしている場合ではなくて〜!
 
「暁良様、これはどういう……?」
「はいは~い、こっちよ~。私のことはルルって呼んでね」
 暁良からなんの説明もないまま、ルルに奥の部屋へ連行された沙紀は、カバンを奪われ上着を剥ぎ取られた。
 テキパキとサイズを測られ、どんどん準備されていく。
 高級ブティックって怖い!
 
「ん~、下着はコレ」
「い、いえ、下着は……」
 下着はこのままでいいですと断りたかったのに、ルルから有無を言わせぬ圧力が掛かる。
 
「あ、心は乙女だけれど、着替えは見ないから安心して」
 問題はそこじゃないんです。
 金銭的な話なんです。

「肌が白いから、これがいいわね」
 シャッとカーテンが閉められ、沙紀だけが取り残される。
 女優ですか? と聞きたくなるような綺麗な薄紫のドレスに沙紀は戸惑った。
 こんな素敵な服、絶対似合わない。
 孫にも衣裳どころではなく、仮装パーティでは?
 
「ちゃんと着るのよ~」
 着ていないのがバレてる!
 沙紀はドレスを見つめると、観念してブラウスのボタンに手を掛けた。

「柔らかい……」
 少し身体を動かしただけで薄いジョーゼット生地がフワッと広がり、まるでCMの女優さんのようだ。
 問題なのは庶民的なこの顔。
 クロスストラップのハイヒールも足首が細く見えてすごい。

「あら、いいじゃない」
 鏡の前に引きずられ、ルルにメイクをされていく。
 髪はハーフアップでスッキリと。
 デコルテが開いているが、いやらしい印象ではなく、シンプルなネックレスが上品さを引き立てている。

「さすが私。どう?」
「……自分じゃないみたいです」
 魔法だ。これは絶対魔法だ。