結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない

 スケジュール管理、出張手配、来客対応、会食の店を予約・会議室の手配、慶弔手配などの業務から、資料作成まで。
 秘書の仕事は沙紀の想像よりもハードだった。
 さらにビジネスマナーの学び直し、立ち居振る舞いの勉強、さらに英語まで必要なんて!

 今まで営業部にいて、メールや電話の最低限のマナー知識はあると思っていたのに、「お電話ありがとうございます」なんて言ったことがないことに今更気がついた。
 敬語も怪しい。
 ドアのノックはゆっくり3回!
 ストレートな表現は避けて「恐れ入りますが」などのクッション言葉を添える!
 どんな相手にも公平に!

 これがすべて当たり前のようにできる日がくるのだろうか?
 沙紀はCEO室の隣にある秘書室でビジネスマナーの入門書を読みながら、溜息をついた。
 
「無理をするなよ」
「できないことが多すぎて、無理もできません」
 沙紀の珍回答を笑いながら暁良はCEO室から秘書室へやってくる。

「少しずつ覚えればいい。一生俺の側なのだから」
「一年後も秘書のままということですか?」
「そうだ」
 破局後もそのまま秘書として働くなんて一般的には変だと思うけれど、私が暁良の婚約者だということを知っているのは、暁良の祖父、私の両親、そして秘書の夏目のみだから問題ないのだろうか?
 
「遅くなったが、婚約指輪を買わないとな」
「一年だけなのに?」
「沙紀が婚約指輪をしていたら、あの男は驚くだろう」
 あ、私の仕返しのため?

「今週の土曜日、18時から営業部の加賀大輝が合コンに参加します」
 真面目な顔で変なことを言いだした夏目に沙紀は目を丸くする。

「いつも早めに駅前に到着し、近くの店で時間を潰してから参加するという証言を得ていますので、同じ駅前の宝石商を見に行かれてはどうでしょうか?」
「だ、誰の証言ですか?」
「同じ営業部の佐藤卓馬です」
 情報源は佐藤さん!
 大輝をよく合コンに誘っていた人だ。
 大輝がいると、女の子のノリがいいって。