結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない

「沙紀は何が食べたい? 和食か洋食か、中華にするか?」
 暁良は沙紀の肩を抱き、大輝を無視して歩き出す。
 
「待てよ、沙紀! 寂しいからってホストでも買ったのか?」
 可哀想になとニヤニヤ笑う大輝の言葉に、沙紀は言葉を失った。
 
 おまえの相手をしてくれる男なんていないんだぞとでも言いたいのだろうか。
 こんな男と三年も付き合っていたなんて、結婚したいと思っていたなんて、自分の男を見る目のなさに悲しくなってくる。

「悪いな、総会まで我慢してくれ」
 役員総会までは身分を明かすことができないから、だよね。
 何にも悪くないのに、気にしてくれるなんて。
 
「中華がいいです」
 沙紀は大輝を無視し、暁良に微笑んだ。

「それならすぐ近くにあるから、このまま歩いて行こう」
 スマホを軽く操作し、地図を確認した暁良は向こうだと道案内してくれる。
 
 二人でさっき観た映画の話をしながら夜の繁華街を歩くのは楽しかった。
 でも、大輝が後をつけてくるのはどうしてなんだろう?
 ホストだって言っていたから、どこの店なのか確かめてやるってこと?

「すみません、暁良様」
「様だとホストっぽいぞ」
 確かにそうかも。
 
「敬称なしで呼べ」
 沙紀が照れながら名前を呼ぶと、暁良は沙紀の顔を覗き込みながら極上の笑顔を向けた。

    ◇
  
 大輝は、沙紀とイチャイチャしながら歩く知らない男のあとをつけた。

 やっぱりホストか。
 三年も俺と付き合っていた地味で真面目な沙紀に、俺以外の男がいるはずない。
 
 今日の合コンはハズレだった。
 経理の心愛は可愛いけれど、わがままで金がかかる。
 ちょっと遊んで、泣きついてきた沙紀とヨリを戻してやろうと思っていたのに。
 
 二人が入って行ったのはテレビで見たことがある有名な中華料理の店。
 スマホで検索すると、煌びやかな内装の写真とフカヒレ、アワビの写真が出てくる。
 
「ホストにいくら貢いでんだよ」
 そんな金があるなら俺に回せよ。
 大輝はチッと舌打ちすると、繁華街から姿を消した。