結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない

 食べ終わった後、部屋に段ボールを運んでもらった沙紀は、想像以上の中身に驚いた。
 ブラウスやワンピースなどの肌触りの良い服だけでなく、下着、靴、鞄まで。
 
「こんなに……?」
 昨日のショール1枚だって私の給料より高いのに!
 
「……綺麗」
 なんで私好みの服なの?
 なんで履きたいと思っていた5cmヒールなの?
 5cmヒールを履くと大輝と身長差が減ってしまうと嫌がられて以来、ずっとペタンコの靴を履いていたのに。
 
「メイク道具まで」
 これ雑誌に載っていた新商品!
 
「なんでオレンジの口紅が好きだって知ってるの?」
 昨日ブティックでルルに話したかな?
 動きやすそうなズボンとチュニックを選んだが、さりげなくクシュッとなった部分や、裾のスリットがオシャレだ。
 普段買っている量販店とは全然着心地が違う。
 ……なんて、それはそうか。値段の桁が違うもんね。
 
「行くぞ」
 チャリッと車の鍵を見せられた沙紀は、暁良についていく。
 昨日、秘書の夏目が運転していた黒塗りの車とは違う、流れるような美しいボディラインのスポーツカーに目を見開いた。

 絶対高級車!
 このマーク、見たことがある。
 車のことはよく知らないけれど、左ハンドルだしアメリカから持ってきたのかな……?
 内装はもちろん上質。
 昨日の車もふかふかシートだったが、この車のシートはホールド性が高い。

「……運転しないのに、こちら側に座るのは変な感じです」
「そうか。では、右ハンドルの車に買い替えるか」
「えっ? このままで大丈夫!」
「冗談だ」
 焦る沙紀を揶揄って遊んだ暁良は、車を走らせ沙紀のマンションへ。

「……私、マンションの場所って言いました?」
「従業員の住所は調べられる」
 あ、なるほど。
 いや、なるほどじゃない。
 住所だけでなく、会社に提出している個人情報はすべて閲覧可能ということだ。
 見ようと思えば健康診断の結果まで。
 
「どうした?」
「なんでもないです」
「敬語」
 仕方ないじゃない! うちの会社のCEOにタメ口なんてすぐできるわけないでしょ!
 って言えたらいいのに。