結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない

 桃のシャーベットに練乳って合うんだ。
 さっぱりしているのに甘くておいしい。
 初めて見るキラキラのコース料理に夢中で、沙紀は目の前のイケメンが笑いながら見ていることに気づいていなかった。

「桃は気に入ったか?」
「お、おいしい……です」
 恥ずかしすぎる!
「いつでも食べたいときに予約なしで来てかまわない」
「予約なしって、限定三組の店ですよね?」
「支援者は最優先だから問題ない。他にも割烹、中華、ホテル……まぁ、順番に連れて行ってやる」
「支援者……?」
 投資者ってこと? オーナーよりも偉い人!
 やっぱりとんでもない人と契約してしまったかもしれない。
 次元が違いすぎて、どうしたら良いのかよくわからないんですけど!
 
「両親と来てもかまわない。好きに使え」
 こんなすごい人と婚約するなんて言ったら、お母さんひっくり返っちゃいそう。
 
「会うにはどうすればいい? 来てもらう……いや、こちらから行くのが礼儀だな。温泉は好きか?」
「はい、父は温泉好きです」
「実家は長野だったな」
 今日契約したばかりなのにそんなことまで知ってるの?
 
「失礼します。和牛フィレ肉のステーキでございます」
 運ばれてきた肉料理はテレビで見た柔らかいステーキ。
 まさか自分が食べられる日が来るなんて!
 添えられたのはフォアグラだとテレビで言っていたけれど、フォアグラも食べるのは初めてだ。
 
「……美味しい!」
「そうか」
 嬉しそうな沙紀の笑顔に思わず暁良も口元が緩む。
 
「本日の赤ワインはタラパカ・グランレゼルヴァ・カベルネ・ソーヴィニヨンのブラックラベルでございます」
 注がれた赤ワインの色を確かめるようにゆっくりとグラスを傾け、香りを確かめる暁良の姿に沙紀は見惚れた。