忘れられなかった初恋が、40歳で叶ってしまった

祐太郎と絵奈が出会ったのは、小学2年のクラス替えだった。
クラスのボスキャラ的男の子からいじめられていた絵奈は、ボスキャラと仲良しの祐太郎も苦手だった。
ただボスキャラの男の子が容赦なく絵瑠を傷つけてくるのに対し、彼はたまに優しかった記憶がある。

小学5年の頃、ずっと続いていたイジメから解放され、絵奈がようやくクラスに馴染めるようになってからは、祐太郎も仲のいい友達の中の1人になった。

ただ親密というわけではなく、その後も中学校を卒業するまで特に祐太郎との距離は縮まらなかったが、たまに話すと優しいしかっこいいし、それでも私なんか相手にされるわけないと決めつけて、そのまま離れ離れになった。

ハタチの時1度同窓会で再会した時もやっぱり好きな感情は残っていて、お酒を飲んで気が大きくなった絵奈は、ずっと祐太郎の手を握ってしまっていた。
その時はなんと、祐太郎もその手を握り返してくれて、帰るまでずっと2人は手を繋いでいたりして、すごく幸せな気持ちになったのを覚えている。しかしその時絵奈には彼氏がおり、そのまま彼氏の元からは離れなかった。連絡先も交換しなかった。


まさか今、結婚して子供もいて、幸せに暮らしているのに再会するなんて。さらに連絡先もあっさり交換してしまうなんて。

祐太郎君だっておそらく結婚しているだろう。
見れば分かる。
家族で弟さんの試合を見に来ていたんだ。
私達はきっと、結ばれる事はない星の元生まれてきたんだと思う。

ただ、同窓会で握り返してくれた手の温もりが忘れられない。
多分祐太郎君は、私の事が好きだった。
その時酔ってはいたけれど、ひとときの温もりに私はなぜか、両想いの確信が持てるのだ。


だからこそ今回偶然交換した連絡先に、絶対に連絡してはいけないと思う。
連絡したら最後。

私は不倫の泥沼に入るってことも、分かっているから。